@:事業所閉鎖によりリストラされた30代妻子持ちの転職活動

1:事業所閉鎖によりリストラされた30代妻子持ちの転職活動

次は正社員で探すよ

 

 

妻、息子と三人で品川区に住んでいる当時35歳、管理人の知人の言葉です。仮にSとしましょう。

 

 

Sはある外資系メーカーで勤務していました。正社員でも、派遣社員でもありません。【業務委託契約】という形で勤務していましたから、雇用形態というのとも違います。いわゆる【個人事業主】として働いていました。

 

 

ですから、正直、立場的には不安定でした。ただ、金銭的な部分は結構良かったみたいです。金額は教えて貰っていませんが、同世代のサラリーマンの平均的な年収よりも良かったみたいです。

 

 

仕事内容もSにとっては楽しいものでした。日本で発売する製品のパッケージを考えたり、得意の英語を使って中国にある工場と製品の輸出入についてやり取りをしていました。

 

 

海外にいた経験(と言っても1年くらいですけど)があるSは英語を使う仕事をしたいという思いと、あとはいわゆるガジェットが好きなのでその両方を満たせるこの外資系メーカーので仕事は天職と言って良いものでした。

 

 

ちなみに、Sは「このPCの裏側のネジのデザインが素晴らしい。デザイナーのこだわりを感じる」とか言って、使いもしないノートPCを購入して眺めているような人間です(笑)

 

 

その外資系メーカーで約7年間仕事をしていたSですが、ついに重大な決断を迎える日がやってきたのです。

 

 

それはその外資系メーカーが日本から撤退するというものでした。

 

 

35歳妻子持ちの中年男の転職活動が突然始まったのです。

正社員経験がない事がネックに

余談ですが、外資系の企業はいきなり撤退しますし、いきなり解雇通知をしてくることが多いです。

 

 

文化の違いとしか言いようがないですね。

 

 

日系企業は経営が苦しくなっても出来るだけ従業員を守ろうと考えますが、外資系は違います。

 

 

今いる連中が駄目だから会社の経営が傾くんだろ?だったらそいつらをクビにしろ!

 

 

という(株主の)発想です。外資系の企業は給与は日系に比べて高い傾向がありますが、いきなり解雇通知される事があるので、実は外資系企業で働く人間に対する日本の金融機関の信用度は低いです。

 

 

例えば、新卒で日系企業に正社員と入社して1〜3年目くらいの社員と、外資系企業へ正社員とし入社して6〜7年目くらいの人間を比べるとします。すると、これだけ就業年数が違うのに実は前者の方が金融機関からの信用度は高いです(笑)

 

 

私の知り合いで外資系企業に正社員として務めて7年目の人間がいるのですが、先日家を購入しようとしてローンの相談をしに銀行へ行った時にこの事を言われたそうです。

 

 

外資系の企業はいきなり撤退する事があるので、あまり信用されない傾向が強いようですね。

 

 

前置きが長くなりました。

 

 

Sは前述のとおり35歳(当時)です。年齢も年齢ですから『正社員』での就業を目指して転職活動を始めました。

 

 

最初は余裕こいていましたよ。なにしろ、エージェントに登録だけすると、妻子ほったらかしにして1ヶ月近くアジア旅行に行きましたから。色々歩いて見て廻ったようです。旅の途中に撮った写真をメールで沢山送ってきましたよ(笑)

 

 

「正直、2〜3ヵ月で決まると思ってたよ(苦笑)」

 

 

当時の事をSはこのように振り返っています。

 

 

海外留学の経験もあり、英語も使えるSですが正社員での就業経験が無かったことがかなりネックになりました。

 

 

絶対とは言えませんが、人材業界の基本的な認識として【35歳くらいの年齢で正社員経験無し】というのは、転職活動を行う際に明確にマイナス要因となる可能性が高いです。

 

もちろん、選ばなければありますよ。ただ、可能性が相当低くなる事と選択肢がかなり少なくなる事は受け止める必要があるでしょう。

 

35歳といったら、仮に4年生の大学卒業してすぐに就職した場合、社会人歴13年ですからね。何かしら肩書を持っていても不思議ではありませんし、既に若い人達を育成する側になっている立場です。

 

 

Sの話に戻しましょう。

 

全然決まらないのです。いくら応募してもお祈りメール(不採用通知)が来るだけで、面接にすら進めません。登録していたエージェントからも「この年齢で正社員経験がないのは、かなりネックになってますね」と言われてしまいます。

 

 

転職歴は35歳で2回です。上述の外資系での職歴(といっても業務委託契約なので転職歴に数えるのは少し意味合いが違うかもしれません)も含めてです。大学卒業して1年間は海外留学。その後帰国してすぐに日系のある企業へ業務委託契約で約5年間就業。それから上述の外資系企業で約7年間就業しました。

 

 

どちらも業務委託契約という事で、就職とも意味合いは違いますが、就業した企業という意味においては2社なわけです。決して転職回数が多い部類には入りません。

 

 

ですが、【正社員経験が無い】という事がネックとみられたのです。

 

 

正社員にならない(なれない)のは何か問題が有るんじゃないか?

 

 

企業側はこのように考えます。

 

実際に問題が有ろうが無かろうがこのように考えるのです。

結局10ヶ月かかりました

実は、最初Sは引き続き外資系の企業で働きたいという願望を持っていて、日系企業は全てお断りというスタンスを続けていました。

 

 

外資系の雰囲気が好きらしく、そこで働きたいと思ったんですね。

 

 

ただ、個人的には「年齢も年齢だから正社員になって安定した生活を送りたい」と言っていたSが、いきなり切られたり撤退する外資系にこだわるのは、ちょっと違うんじゃないか?と思っていましたけどね(笑)

 

 

外資系の場合は英語で面接があるケースが多いです。海外にいる人事担当と話をしたり、役員面接もあります。その場合は直接会うのが難しいので、スカイプを使って面接するのですが、実はSは非常にあがり症なんです。

 

 

初めて話す人とは日本人だろうが外国人だろうが関係無く、挙動不審になります。面接まで行ってもそれで何回も落とされていました。

 

 

意志の疎通をしっかり行えないという事は、仕事を進める上で支障をきたす

 

 

という事なのです。仕方ありません。

 

 

転職活動を開始してから5ヵ月後、ようやく『外資系以外はお断り』というスタンスを撤廃して日系企業も受けるようになりました。

 

 

たまに連絡貰って会っていたんですが、負のオーラ全開でしたね。猫背で表情も暗いですし、声も小さくなっているんです。相当追い詰められているんだというのが伝わってきました。ですから、

 

 

外資系だけにこだわらないで日系企業も受けるべきだよ。別に英語使いたいなら外資じゃなく、日系企業でもあるでしょう?

 

 

私はこのようにを勧めました。内定を貰えないという事もそうですが、単純に貯金も底をついてきたという話を聞いていたので、それも重なって精神的に余裕が無くなっているんだろうと考えたからです。

 

 

Sは4か月後にある日系の商社から内定を貰いました。それで心に余裕が出たのか、同時に進めていたある外資系の電機メーカーからの内定も貰い、そこに就職して現在も働いています。

 

その話を聞いた時、

 

 

「結局外資かい!」

 

 

と思わず突っ込んでしまいましたけどね(笑)

 

 

Sが今回苦労したのは、【正社員経験が無かったから】という事が大きいです。

 

 

あまりこういう事は声を大にして言えないですけど、なかなか希望の業界職種の正社員に就けないと悩んでいる、かつ正社員経験そのものが無い方はとにかく【正社員という経歴を作る】事も検討した方が良いです。

 

 

単に正社員になるという事だけで言ったら、意外とありますよ。希望職種、希望業界、希望待遇を満たしているかどうかは別としてですけど。

 

 

大量採用 × 選考期間短い(1〜2週間程度) × 中高年(30代)】 

 

 

こんなイメージで探してみてください。あくまでも、正社員経験という経歴を作るものと割り切ってください。

 

 

もちろん、希望の仕事にも同時に応募するんですよ。そこで採用されれば万々歳、仮にされなくても正社員経歴を作るための仕事に採用されればOKという割り切りです。

 

 

そして、一度採用されたら3年は働いてください。そうしないと経歴にならないですからね。

 

仮に3年経たずに転職したいという場合でも、最低1年間はそこで働いてください。それから転職活動を開始してください。流石に正社員と言えども、数か月の就業期間で履歴書・職務経歴書に書くのは見栄えが悪すぎます。

 

 

ちなみに、今回紹介したSはリクナビNEXTで掲載している企業に応募を繰り返していた時に、リクナビNEXT経由で届いたスカウトメール(転職エージェント)からの紹介で仕事を決めました。

 

リクナビNEXTに登録すると、その際に職務経歴を記載するページがあるのですが、そのデータをもとに転職エージェントから【スカウトメール】というのが届きます。

 

 

転職エージェントというのはたくさんありますから、『スカウトメール』をくれたエージェントに登録するというスタンスで良いと思います。

 

 

採用されるかどうかは別問題ですが、紹介できる案件が無いのにわざわざ登録会の案内をする暇なエージェントは基本的にありませんからね。

 

 

将来的に就きたい職業があるが、正社員経験が無くて内定を獲得できない

 

 

と悩んでいる方は、今回紹介した方法(とにかく正社員の経歴を作る)を試してみる事をお勧めします。